さんがつの国

日々是 雑記

あなたはここで、息ができるの? 感想

あなたはここで、息ができるの?

竹宮ゆゆこ

の感想。

以下ネタバレありのため、ご注意ください。

 

 

薄め

まず読み始める前に、文庫本を見たときの感想。薄め。200ページない作品で、前に心臓の王国を読んだばかりだったため、この薄さでどうなるかと思っていたけど、読みやすい量だなと思い直し、気楽に読み始めた。

 

置いてけぼり

あらすじを見るとタイムリープ物らしく、どうなっていくのかなぁと読み始めると、いきなり主人公らしき女の子が死にそう。

しかも、脳みそ垂らして、内臓飛び出て、みたいな状況で展開が急すぎて、置いていかれた。犭みたいになってるって言われても。しかも、そんな状態なのに自分語りが止まらず、どんな状況なのか想像するだけで、てんてこ舞いだった。

 

だんだんわかってくる

そこから、宇宙人がやってきて、今までの人生で運命を変えるきっかけの場面に飛んでいくのだが、そこは主人公ララの感情の振れ幅が激しくて読んでいて楽しい部分だった。健吾君との関わりは若さ故の危なっかしさや、瑞々しさやら眩しく感じた。

最早、ララの両親の方が、身近に感じられた。ママさんが良いキャラしてた。

 

どんな結末を迎えるのか

最後の方に差し掛かり、残るページも少なくなってきた。それでも、どんな着地を見せてくれるか、未だに見えない。そんな調子で進んでいく。

 

話の流れでは、ララが事故に遭う未来を回避するために、健吾君が宇宙人となり、何度も出会いから事故に遭うまでを繰り返す。

何回も何回も数え切れないほど。

そこで、健吾君だけが事故に巻き込まれる道を選んだが、更にララが宇宙人となり、結末を元に戻したという解釈をした。

 

健吾君に生きていてほしいから。

 

そんな純粋だけど、傲慢で、相手のことを思う気持ち。それが、熱量を持って届いた。

ただ、その選択により悲しませた人もいるが、死後の世界で会えた。

 

決して、皆が救われてハッピーっという終わりではないが、ララの選択はこれだったんだ。弾ける若さが伝わってくる、そんな読後感だった。

 

終わりに

あなたはここで息ができるのを読んで、眩しさを感じた。主人公ララの恋や感情の起伏、どれも自分にはないものである。

若さってだけではなく、その人が持っている激しさや、感情。

それを表現する竹宮ゆゆこさんの力。

 

人間の力強さを見せられた。そんな気分だ。

おしまい